最近LASIKに関連する高度な質問を受けることが多くなりました。
そこで、当院の連携先である京都府立医大の角膜専門医 稗田牧先生にアドバイスして頂くコーナーを設けることに致しました。
メールで質問をお寄せ下さい。
※回答者の専門の関係で、質問の内容は角膜疾患とLASIKに関するものに限らせて頂きます。
最近話題になっているアベリーノ角膜変性症のDNA検査をLASIK術前に受ける必要はありますか?
結論から申しますと、LASIKの術前検査としてのDNA検査は必ずしも必要ではありません。根拠は2つあります。
第1 は、アベリーノ角膜変性症は常染色体優性遺伝という遺伝性の病気であるということです。つまり、将来アベリーノ角膜変性症になる方は、両親のいずれかに必ずアベリーノ角膜変性症が存在するということです。従って、両親のいずれかの角膜に小さな濁りが多発していないか眼科医にチェックして貰えば充分ということになります。両親共に濁りが無ければLASIKを受けても問題はありませんし、両親のどちらかに濁りが存在するならばLASIKはお勧めではありません。
第2 は、ホランドによる1992年のアメリカ眼科学会雑誌「Ophthalmology」に掲載されたアベリーノ角膜変性症 多数例の自然経過に関する報告や、眼科学の教科書によれば、重症の早期発症例を別にして、大多数の場合6~10才代にかけて片方の眼に小さな濁りで発症し、やがて両方の眼に見られる様になるとされています。即ち、眼科医が慎重に観察すれば20才以降の大人の場合には、大多数のアベリーノ角膜変性症は発見可能ということになります。どうしても 御心配なら、念のため両親に濁りがないか確認しておかれたらどうでしょうか。
万が一、LASIK後にアベリーノ角膜変性症を発症した場合にはどうしたら良いでしょうか?
京都府立医大での治療経験をお示し致します。
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図1 治療前 |
図2 治療後 |
図1 はLASIK後にアベリーノ角膜変性症を発症し、大学に紹介された時の写真です。角膜全体に小さな濁りが多発しています。
図2 は治療後のもので、角膜の濁りはほとんど消失しています。具体的には、LASIKで作成したフラップを再びあけて、フラップの後面と角膜のベッド面にエキシマレーザーで治療的角膜切除(PTK)を行い、濁りを生じた層を消失させた後で、細胞の増殖を抑える薬剤(マイトマイシンC)を塗布します。治療直後には透明になっても混濁が再発してくることが予想されますので、将来的には角膜移植などが必要になるかもしれません。治療方法はありますが、アベリーノ角膜変性症と診断されればLASIKは受けないほうがいいでしょう。
円錐角膜なのでLASIKができないと言われたのですが、近視を治すにはどうしたらよいでしょうか?
円錐角膜の程度により治療方針が異なります。
① 軽度の場合には、眼内コンタクト(有水晶体眼眼内レンズ)が適当です。
② 中等度で、将来の進行が疑われる場合には、「クロスリンキング」という手法で、角膜の強度を強くして、円錐角膜の進行を止めてやる必要があります。具体的には、
1.麻酔薬を点眼した後角膜上皮を取り除きます。
2.角膜実質にリボフラビン(ビタミンB2)を30分間点眼します。
3.角膜に30分間、370nmの紫外線を照射します。
4.角膜に治療用ソフトコンタクトレンズをかぶせて終了です。
この手法を行うことにより、角膜を構成するコラーゲン線維間が「のり状物質」で架橋されることにより強度が増します。その後に、軽度の場合と同じ眼内コンタクト(有水晶体眼眼内レンズ)を移植します。必要があれば不正乱視を治す為に角膜内リングやCK(コンダクティブ・ケラトプラスティー)という手法を用いることもあります。
③ 重症で角膜が非常に薄くなっている場合には、角膜移植が必要になります。








